概要

映画やゲームにおいて,CGを用いて自然現象が描かれることは多々あります.自然現象は人工的に発生させたり操作したりすることが困難なため,ユーザがインタラクティブに軌跡を制御したり,形を変形させたりできるビジュアルシミュレータを開発することには意義があります.特に,物理則に基づいたシミュレーションを行うことで,よりリアリティの高い,迫力のある映像を作ることが可能です.なかでも,流体シミュレーションに基づいた砂の動きは多用されており,重要な研究テーマの一つですが,砂と風とのインタラクションを扱った研究は少ないです.

そこで本研究では,砂と風とのインタラクションの一つである砂塵を対象としたビジュアルシミュレーション手法を提案します.砂塵とは,雨天時に地面が日射によって温められ,上昇気流が発生し,砂やほこりが巻き上げられる現象のことです.

空気の流れを格子法を用いて計算し,細かい乱流を表現するために砂粒子ごとに動きを計算することで,粗い格子でも高解像度なシミュレーションを実現します.また,粒子ボリュームレンダリングに加えて陰影を計算することで,煙のような表現での描画を実現します.

加えて,インタラクティブな砂塵の操作のため,マウス操作による砂塵制御や視点の変更を可能にしています.

砂塵のシミュレーション結果.複数のオブジェクトにインタラクションを起こした例

ビデオ

業績

下線が引いてある著者は藤代研究室に所属している/所属していたメンバーです。

学術誌

  1. 中島 聡藤代 一成:「砂塵ビジュアルシミュレータのGPU 高速化」(ショートペーパー),画像電子学会誌,42巻,4号,505–508頁,2013年7月.
  2. Satoshi NakajimaIssei Fujishiro:”Interactive simulation of whirlwind using grid and particles”, 芸術科学会論文誌,11巻,4号,157–165頁,2012年12月.

発表(査読あり)

  1. Satoshi NakajimaIssei Fujishiro:”Visual simulation of whirlwind using a grid and particles,” in Proceedings of NICOGRAPH International 2012, pp. 27–34, Bali, July 2012.

発表(査読なし)

  1. 中島 聡大野 義夫藤代 一成:「地形との相互作用を考慮した砂塵の対話的ビジュアルシミュレーション」(ポスタ発表),Visual Computing/グラフィクスとCAD合同シンポジウム予稿集2011, No. 25,松江,2011年6月.
  2. 中島 聡大野 義夫藤代 一成:「砂塵の対話的ビジュアルシミュレーション」,情報処理学会第73回全国大会,東京工業大学,5Z–5(講演論文集(4), pp. 101–102),2011年3月.

粒子ベースの流体シミュレーション ページに戻る