概要

対話的なコンピュータグラフィックスは,映画制作や都市設計など様々な分野で適用できる重要な技術で,そのなかでも物理シミュレーションは視覚的妥当性に重点をおいています.固体や弾性体などの多くの物理シミュレーションは対話的な速度で実行できるようになっている一方で,気体の物理シミュレーションは未だ充分な研究がされていません.

そこで,本研究では気体の中でも手作業での表現が特に難しい火炎について,対話的なビジュアルシミュレーション手法を提案します.SPHによる流体シミュレーションをベースとし,燃焼反応による熱の影響を受けて生じる浮力を外力として加えることで,物理的妥当性を考慮しながら視覚的に妥当な火炎シミュレーションを追求します.

シミュレーション概要:従来の粒子法に化学反応をモデル化し,浮力と熱を生成

提案手法によるシミュレーション結果

また,ポイントスプライトを用いて火炎をレンダリングするだけでなく,動的かつ滑らかな印象を生成するため,簡易的なモーションブラーを適用しています.

レンダリング結果の比較.シミュレーションに必要な粒子をすべて表示(左),火炎粒子のみ表示(中央),火炎粒子にポイントスプライトを適用(右)

これにより,ユーザに空間制限を課すことなく,対話性の高い火炎のビジュアルシミュレーションが可能となり,ユーザが自在に火炎を扱えるようになりました.

業績

下線が引いてある著者は藤代研究室に所属している/所属していたメンバーです。

論文誌

  1. 間淵 聡藤代 一成大野 義夫:「SPHベースリアルタイム火炎シミュレーション」,情報処理学会論文誌,52巻,10号,2965–2972頁,2011年10月
  2. 間淵 聡藤代 一成大野 義夫:「粒子ベースリアルタイム火炎レンダリング」,画像電子学会誌,40巻, 4号,541–548頁,2011年7月

発表(査読あり)

  1. Satoshi MabuchiYoshio OhnoIssei Fujishiro:”SPH–based method for interactive flame simulation—Implementation on CPU and GPU,” in Proceedings of ASIAGRAPH2011, pp. 41–46, Tokyo, October 2011.

発表(査読なし)

  1. 間淵 聡藤代 一成大野 義夫:「粒子ベース火炎レンダリング」,情報処理学会研究報告,Vol. 2010–CG–142,No. 20,慶應日吉キャンパス,2011年2月
  2. 間淵 聡藤代 一成大野 義夫:「SPH ベース火炎シミュレーション」,情報処理学会研究報告, Vol. 2010-CG-140,No. 9,熱海,2010年9月(間淵は優秀研究発表賞受賞)

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