概要

泡沫とは,多数の気泡が密集し塊を形成した状態のことです.洗剤やビールの泡,消火泡など日常生活のあらゆる場面に泡沫が存在しています.泡沫は日常生活に欠かせないため,多数の映像作品でCGを用いた泡沫シーンが製作されています.

このように,CGにおいて泡沫の重要度は高く,泡沫のビジュアルシミュレーション手法が多々提案されています.一方で,既存の研究では水面に浮かぶ泡沫に着目したものが多く,壁面に付着した泡沫の挙動に関してはほとんど考慮されていません.

泡沫が壁面に付着した場合,すぐに壁面を流れ落ちず,ある程度の時間壁面に留まる場合があります.このとき泡沫は,含まれる液体の体積分率(液体分率)に応じて流体的または固体的な振る舞いを示します.泡沫の重要な現象の一つとして,重力を受けて液体が泡沫の下方に流れる排水(drainage)とよばれる現象があります.排水によって泡沫内の液体分率分布が刻一刻と変化すると,泡沫が二つに分離するなど泡沫の挙動が変化します.さらに,排水の影響で泡沫の下端に液体が溜まると,その液体が泡沫から千切れ落ちるピンチオフ(pinch-off)とよばれる特徴的な現象が発生することがあります.

そこで本研究では,排水を考慮した泡沫のビジュアルシミュレーション手法を提案します.気泡間の液体の流入出を計算することで排水を近似し,液体分率に応じて気泡にかかる力を変化させることによって,泡沫内の液体分率分布の変化に応じた振る舞いの変化を実現します.また,下端の気泡に溜まった液体量が条件を満たした場合に液体を発生させることで,ピンチオフ現象を再現します.

排水を考慮した泡沫のビジュアルシミュレーションの結果.水色の球は
ピンチオフによって発生した液体を表す

メンバ

背景色が灰色のメンバは現在はプロジェクトに関わっていないメンバです。現在も藤代研究室に所属しているメンバは名前の前に藤代研のアイコンがついています。

名前現在の所属ホームページ
田原 宏都慶應義塾大学

業績

下線が引いてある著者は藤代研究室所属している/所属していたメンバーです。

発表

発表(査読なし)

  1. 田原 宏都藤代 一成:「壁面上泡沫流における排水効果の再現」,情報処理学会第86回全国大会講演論文集,Vol.2,pp.231–232(6P-06),神奈川大学,ハイブリッド,2024年3月17日

資金

  1. 基盤研究 (A) :21H04916 (2021-)

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