概要

漫画の多くは,線画作成,コマのレイアウト構成,トーン・ベタの加工や写植など,様々な工程を経て制作されます.近年のイラストツールに搭載された機能の拡張やイラストツールからの支援により,専門的なスキルをもたない初心者でも気軽に漫画を描く機会が増えています.初心者にとって,漫画内の全てのコマに背景を描くことは難しく,作画には多大な時間を要します.それに対し,別の制作者によって作成されたり,キャラクタとは別に作成された線画素材を自身の漫画に利用することは効率的な作画手段です. 

CLIP STIDIO PAINTで配布されている素材(左)を漫画に使用した例
中央の絵はそのまま素材を挿入し、右の絵はキャラクタの画風に合うようになぞり直しています.

しかし多くの人に使用されることを想定して作成されている素材は,汎用性を重視しているため,そのまま漫画に背景として挿入した場合,素材の線画に太さの変化や揺らぎのような作者独自の作画の特徴をもたせることができません.そのため,制作者が手描きしたオブジェクトに馴染まないケースが発生しています.素材の使用により,背景の構想や透視図法に したがった作画に要する時間は削減されますが,素材を漫画に馴染ませる加工の手間を省くことができません.手描きの線分に表れる筆圧や揺らぎといった作画の特徴を素材に反映させる処理は,作画の効率を下げ,制作者にとって負担となっています.

線画(左)に本手法を適用した線画を背景にしたコマ例
使用した各ストロークテクスチャとキャラクタは同一の制作者が作成しています.

そこで本研究では,均 一な太さの線分で構成された建造物のベクタ線画を,手描き風 の線画に半自動的に変換する手法を提案し,提案手法を実装したシステム―LinDA(Line Drawing Artist)を構築します.線画の各線分がどのような特徴をもっ ているかを定量的に示し,特徴の類似度によって線分を分類します.分類の結果に応じて,ストロークを一括で変換します.これにより,既存線画とストロークの入力をもとに,作者独自の作画特徴を反映した線画を作成します.

線画内の線分を線分がもつ特徴の類似度をもとに複数のグループに分類し,そのグループごとにユーザが入力したストロークを適用します.それによってユーザはLinDAを用いることで,全ての線分をなぞる必要がなく,より容易に短時間で手描き感のある線画を作成することができます.LinDAによって作成された背景線画とユーザが一般的なイラストツールを用いてすべてなぞって作成した線画を比較して,定量的および定性的に評価実験を実施した結果,LinDAを使用すると作画時間が短縮し,ユーザが感じる作業負荷も軽減されることがわかった.

メンバ

背景色が灰色のメンバは現在はプロジェクトに関わっていないメンバです.現在も藤代研究室に所属しているメンバは名前の前に藤代研のアイコンがついています.

名前現在の所属ホームページ
野村 芽久美慶應義塾大学(2021年了)
中山 雅紀慶應義塾大学

業績

発表

  1. 野村 芽久美中山 雅紀藤代 一成:「LinDA: 都市景観の背景線画半自動生成システム―線分特徴量に基づく一括ストロークテクスチャ変換― 」,画像関連学会連合会第6回秋季大会,京都工芸繊維大学60周年記念館,2019年10月31日―11月1日
  2. 野村 芽久美中山 雅紀藤代 一成:「LinDA:漫画背景画像の半自動生成に向けた線分特徴量抽出」,情報処理学会第 81 回全国大会,Vol. 4,pp. 163―164,福岡大学 七隈キャンパス(福岡県福岡市),2019年3月14日―16日 🏆学生奨励賞
  3. 野村 芽久美中山 雅紀藤代 一成:「LinDA:漫画背景画像の半自動生成に向けた線分特徴量抽出と分類」,映像情報メディア学会技術報告,Vol. 43,No.9,pp. 315―318,早稲田大学 西早稲田キャンパス(東京都新宿区),2019年3月12日

資金

  1. 科研費基盤研究(A):17H00737 (2019-)
  2. 科研費挑戦的萌芽研究:16K12459 (2018-2019)

チームページに戻る