概要

 COVID-19 のパンデミックにより,感染データに関する可視化が連日メディアを中心に利用され,Web サイトや紙面上の記事で多くのスペースが割かれています.ジョンズホプキンス大学(Johns Hopkins University)のWebサイトは感染拡大初期,多くのメディアなどで取り上げられ,大きな話題をよびました.今日,情報可視化とCOVID-19 のパンデミックは切り離せない関係になっています.

 また,コロナ禍で「インフォメーション」と「パンデミック」を組み合わせた「インフォデミック」という造語も話題になりました.インフォデミックとは、大量の情報が氾濫するなかで、不正確な情報や誤った情報が急速に拡散し、社会に影響を及ぼすことを指します.今日,正確な情報を多くの人にすばやく,詳細に伝える重要性は以前のパンデミックに比べ,ひときわ増しています.

 そうしたなかで,メディアが生成する感染データの可視化は紙面の都合で必要な図を載せきれないこともあります.もともとCOVID-19の感染状況を知るには,感染者数だけでなく,重症者数や死者数,また地域や都道府県単位の様々なデータを複合してみる必要があります.しかし,スペースの関係で必要なデータを載せきれないことは多々あり,多角的な視点から感染状況を読み解く,ということがなかなかできません.

 こうした背景を踏まえて,本研究では,情報量を減らすことがなく、スペース効率のよい可視化手法を開発し,従来はスペースの制約上載せきれなかった図も掲載できるようにすることで,情報の発信側と受信側双方のビジュアルコミュニケーションを活発にすることを目指します.

 主なアイデアは、スパークライン[1]として二色塗分け法 [2](Two-tone pseudo coloring)という可視化手法を記事中に埋め込む、というシンプルなアイデアです。提案手法の詳細や作成した新聞記事は,下記の学会で発表しています.上の図は二色塗分け法を用いて47都道府県の感染者数を可視化した例です.

 今後の課題は,カラーレジェンドをどのように選択するか,またモノクロの紙面に対応したテクスチャ表示の実装などです.また,評価実験を通して,この手法が有効であるか定性的,定量的に検証することです.

参考文献

[1] E. R. Tufte: Beautiful Evidence, Graphics Press, 2006.

[2] Saito, H. N. Miyamura, M. Yamamoto, H. Saito, Y. Hoshiya, and T. Kaseda, “Two-tone pseudo coloring: Compact visualization for one-dimensional data,” in Proc. IEEE Symposium on Information Visualization 2005, pp. 173–180,2005.

メンバ

名前 現在の所属 ホームページ
本田 健悟 慶應義塾大学
斎藤 隆文 東京農工大学

最新の国内発表

以下の「第50回可視化情報シンポジウム」で本プロジェクトの報告をしました.

その他の発表については,下にある業績欄をご覧ください.

業績

国内シンポジウム(査読付)

  1. 本田 健悟,斎藤 隆文,藤代 一成:「二色塗分けスパークラインを用いた一次元時系列COVID-19感染データの可視化 」(short),Visual Computing 2021,オンライン,2021年9月

国内シンポジウム(査読無)

  1. 本田 健悟,小林  拓,斎藤 隆文,藤代 一成:「時系列データのスマート可視化」,第50回可視化情報シンポジウム,工学院大学(ハイブリッド),OS9–4:1-OS9-4:5,2022年8月10日,ベストプレゼンテーション賞
  2. 本田 健悟,斎藤 隆文,藤代 一成:「二色塗分けスパークライン:COVID-19感染データの可視化が読者に与える影響の調査」,第 49 回可視化情報シンポジウム講演論文集,オンライン,2021年9月
  3. 本田 健悟,斎藤 隆文,藤代 一成:「二色塗り分けスパークラインを用いたCOVID-19感染データの可視化」,情報処理学会第83回全国大会講演論文集(4),pp. 89―90(7Y-02),オンライン,2021年3月18日―20日,学生奨励賞

資金

  1. 基盤研究(A):17H00737,21H04916

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