概要
近年,ビジュアルコンピューティングにおけるコンピュータビジョン(Computer Vision, CV)とコンピュータグラフィックス(Computer Graphics, CG)はますます密接な関係にあります.
こうした背景を踏まえ,慶應義塾大学理工学部では,2019年度より,CVとCG両分野の基礎から応用までを体系的に取り扱う講義「ビジュアルコンピューティングIA/B,II」を開講しました.
「ビジュアルコンピューティングII」では,CVとCG両分野の発展的な内容をテーマとしたプログラミング課題を出題することが特徴となっています.CG分野のプログラミング課題では,GPUコンピューティングの体験とパストレーシングの理解が目標となっており,これらを達成するためにクラウドベースのCG実習教材が開発されました.
この教材はGoogle Colaboratoryというクラウドベースの開発環境のうえに構築されており,環境構築が不要,高性能デバイスが不要という特徴があります.一般的に,CGプログラミングはソフトウェアやハードウェアの依存性が高く,デバイス性能要求が高い傾向にありますが,本教材はクラウドコンピューティングの力を最大限に利用することで,デバイス性能要求を極限まで小さくしています.事実,本教材はラップトップPCやタブレット,スマートフォン上で動作させることができます.
COVID-19によって遠隔教育を余儀なくされた2020年度には,本教材の真価が発揮され,慶應義塾大学理工学部のCG教育の品質維持に貢献しました.また,2021年度以降も本教材の採用が決定しました.今後も教材の充実を図り、より効果的な活用を検討していきます.
メンバ
業績
学術誌
国際学術誌
- Masaru Ohkawara, Hideo Saito, Issei Fujishiro: “Experiencing GPU path tracing in online courses,” Graphics and Visual Computing, Vol. 4, June 2021 (pre-proof: April 22, 2021), 200022, ISSN 2666-6294 [doi: 10.1016/j.gvc.2021.200022]. (repository)
発表
国際発表
- Masaru Ohkawara, Hideo Saito, Issei Fujishiro, “Experiencing GPU path tracing in online courses,” invited by Eurographics 2021 Education Papers, Vienna (virtual), May 2021.
国内発表
- 大河原 将,藤代 一成:「可搬性を考慮したリモート/ローカル混成型のコンピュータグラフィックス実習教材」,情報処理学会研究報告,Vol. 2023-CG-192,No. 46,鳥取県立生涯学習センター,2023年11月
- 大河原 将,藤代 一成:「遠隔社会におけるグラフィックスパラダイム」,FIT2022,CI-001,2022年9月
- 大河原 将,斎藤 英雄,藤代 一成:「 GPUパストレーシングを体験するクラウドベースのコンピュータグラフィックス実習教材」,情報処理学会研究報告,Vol. 2020–CG–178,No. 1,慶應義塾大学 (オンライン開催) ,2020年6月
資金
- 基盤研究 (A):21H04916 (2021)