概要

雷などの放電現象は絶縁体内部に過剰な電荷が流れることで発生し,その破壊痕はリヒテンベルク図形 (Lichtenberg Figures) とよばれます.コンピュータグラフィックスにおいて雷の表現はデザイナが直接描くのが主流であり,プロシージャルに生成手法はあまり普及していません.しかし,CGにおける実装コストを考えると,デザイナがインタラクティブに形状を操作し,短時間でプロシージャルに生成することが望まれます.そのため本研究では,雷の破壊痕の形状に着目するために,リヒテンベルク図形の生成を試みることで,絶縁破壊に広く適用できる手法を模索します. 

関連研究としては,クラスタの成長過程が表現できる拡散律速凝集(DLA)がありますが,この手法は電気的性質が考慮されておらず,瞬時に形状を生成することは困難です.他には,絶縁破壊が確率で進行すると捉えたモデルであるDielectric Breakdown Model(DBM)もあります.こちらの手法は電気的性質を反映していますが,具体的かつ明示的な経路を抽出することが困難であり,新たに経路情報を利用してCG表現を発展しようと試みる場合は不適となります.

 

そこで本研究では,電気的性質を考慮し,ユーザがインタラクティブに操作可能な,絶縁破壊痕のプロシージャル生成を試みます.既存の研究例よりも,CGの表現に特化させたモデルを構築することで,ユーザが利用容易かつ時間的コストを抑えたアプリケーションを実現します. 

開始位置と電子分布による柔軟な形状変化の取得例

また,システムとしての監督可能性 (directability: イメージする結果を得るために、ユーザがシミュレーションを制御できる性質) を重視しており,事前に設定するパラメータと実行時にユーザが操作する情報を組み合わせて,インタラクティブに形状が生成できるように試みます.

Reality Modeling Triangle上の位置づけ

本研究は,CG表現とユーザの利用容易性に特化しているためArtificialな要素が強いといえます.対照的に、実測データは使用していないためPhenomenologicalではありません.また,形状生成の際に近似を多く含むため,Physicalからも離れているといえます.

メンバ

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名前現在の所属ホームページ
西田 良輔慶應義塾大学
中山 雅紀慶應義塾大学

業績

下線が引いてある著者は藤代研究室所属しているメンバです.

国内発表

  1. 西田 良輔中山 雅紀藤代 一成:「空間特性を考慮した3次元リヒテンベルグ図形の生成」,情報処理学会第82回全国大会講演論文集(4),pp. 119―120(1ZC-05),金沢工業大学扇が丘キャンパス(石川県野々市市,オンライン開催),2020年3月5日―7日 学生奨励賞受賞 [情報処理学会電子図書館]

資金

  1. 挑戦的研究(開拓):19H05576 (2019―)

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