概要

近年,イラストを描く媒体として,デジタルツールが頻繁に用いられています.そこでは画材に由来する多種多様なブラシが存在し,それらの視覚効果を組み合わせると幅広い表現が可能になります.特に,水彩画と油彩画の効果を混合すると,水彩で淡い印象を与えながら油彩で立体感や情報量を加えることができるため,頻繁に用いられています.このように,異なる複数種の画材を用いて効果的な塗分けができれば,アナログイラストとは異なる視覚効果をもつ魅力的なイラストが作成できます.その一方で,各画材の塗り分け方,効果の調和にはアーティストの高い技術を要します.

そこで本研究では,複数種の画材を組み合わせたペイントスタイルを画材混合スタイルと定義し,入力画像を画材混合スタイルに変換するフレームワークを提案します.なかでも頻繁に使用される水彩画と油彩画の組合せを扱い,その効果を検証します.

下図は,本研究における,入力画像を画材混合スタイルに変換するフレームワークです.

この提案フレームワークでは,入力画像に対して,顕著度マップの計算および領域分割を実施します.そして,各領域を油彩風と水彩風に塗り分けます.アーティストがイラストを描く際,注目を集めたい部分を詳細に描く性質があることから,顕著度の高い領域を油彩風に塗って情報量を大きくし,顕著度の低い部分は水彩風に塗って情報量を小さくします.

本研究では提案フレームワークにもとづき,入力画像を画材混合スタイルに変換できるシステムを実装しました.ユーザは実装したグラフィカルユーザインタフェース上で対話的な操作をすることで変換が可能になります.

以下に,実行例を示します.

入力画像

 

出力画像

メンバ

背景色が灰色のメンバは現在はプロジェクトに関わっていないメンバです。現在も藤代研究室に所属しているメンバは名前の前に藤代研のアイコンがついています。

名前現在の所属ホームページ
小林智哉慶應義塾大学

業績

下線が引いてある著者は藤代研究室所属している/所属していたメンバーです。

発表

  1. 小林 智哉藤代 一成:「デジタルイラストにおける画材混合スタイルへのフォトレタッチング」,情報処理学会第84回全国大会(愛媛大学,ハイブリッド開催),6ZG-03 (講演論文集(4), pp. 345–346),2022年3月5日
  2. 小林 智哉藤代 一成:「デジタルイラストにおける画材混合スタイルへのフォトレタッチングとその視覚効果の検証」,映像表現・芸術科学フォーラム2022 予稿集(映像情報メディア学会技術報告,Vol. 46, No. 10, pp. 91–94,AIT2022–61),オンライン,2022年3月8日

資金

  1. 挑戦的研究(開拓):20K20481 (2021―2022)

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