概要

オパールは,遊色効果とよばれる光学特性を有する準鉱物であり,その内部に美しく複雑な虹色の模様を発現させることから,古くから宝石として利用されてきました.オパールはカボションカットとよばれる楕円体状への研磨を経ることで,その魅力を最大限に引き出すことが可能です.この研磨には専門性を要するため,宝石の質感設計の観点から,オパールの写実的なビジュアルシミュレーションには意義があります.これを実現するには,オパールの内部構造を考慮した忠実なモデリングや回折現象を考慮した写実的なレンダリングが必要です.

3次元ボロノイ図を用いたビジュアルシミュレーションの結果

 

本研究では,オパールをはじめとするコロイド結晶の生成過程が,ボロノイ図生成に用いられる波面法のアルゴリズムに類似している点に着目し,その内部構造を三次元ボロノイ分割によってモデリングします.これによって結晶学に基づく模様の発現を実現します.

シリカ球の粒径指定による発色の制御

Reality Modeling Triangle上の位置づけ

本研究は,遊色効果の模様から内部構造を推定する手法をとらないため, Phenomenologicalとは遠い位置となります.また,ボロノイ図を用いてオパールの内部構造を近似することで時間計算量や空間計算量の減少を目指していますが,そのモデルは結晶学に基づいているので,Artificial な側面よりも Physical な側面が強いといえます.

メンバ

藤代研究室に所属しているメンバは名前の前に藤代研のアイコンがついています.

 

名前 現在の所属 ホームページ
横田 壮真 慶應義塾大学
杉田 俊平 慶應義塾大学

業績

下線が引いてある著者は藤代研究室に所属しているメンバです.

学術誌

  1. 横田 壮真杉田 俊平藤代 一成:「遊色効果再現のための三次元ボロノイ分割を用いたオパールのモデリング」,画像電子学会誌,Vol. 52, No.1, pp. 174-182, 2023 年 1 月. [online journal]

発表(査読付き)

  1. 横田 壮真杉田 俊平藤代 一成:「三次元ボロノイ分割を用いたオパールのビジュアルシミュレーション —遊色効果の再現—」(ロング発表),Visual Coputing 2022(京都),pp. 17:1–17:6, 2022 年10 月6–8 日,ポリフォニー・デジタル賞CGVI優秀研究発表賞CGVI学生発表賞

発表(査読なし)

  1. 横田 壮真,藤代 一成:「オパールのビジュアルシミュレーション—焼結の再現と回折方向の効率的な探索—」,情報処理学会研究報告,慶應義塾大学,Vol. 2023–CG–193,No. 11,pp. 1-6,2024年3月18–19日,優秀研究発表賞
  2. 横田 壮真,藤代 一成:「加法的重み付き三次元ボロノイ図を用いたオパールの内部構造モデリング」,VCワークショップ 2022 in 諏訪湖(長野),講演番号 8,2022年11月25日–26日.[講演要旨:画像電子学会誌,Vol. 52, No. 1, p. 248, 2023年1月]
  3. 横田 壮真杉田 俊平藤代 一成:「遊色効果再現のための三次元ボロノイ分割を用いたオパールのモデリング」,第50回画像電子学会年次大会(知床),S10-3,2022 年9 月2 日,研究奨励賞受賞
  4. 横田 壮真杉田 俊平藤代 一成:「ボロノイ分割モデルを用いたオパールの遊色効果のビジュアルシミュレーション」,情報処理学会研究報告(オンライン),Vol. 2022–CG–185,No. 3,pp. 1-6,2022 年3 月11 日
  5. 横田 壮真藤代 一成:「遊色効果のビジュアルシミュレーションのためのボロノイ分割ベースのオパールモデリング」,情報処理学会第84回全国大会(愛媛大学,ハイブリッド開催),7ZG–02 (講演論文集(4), pp. 355–356),2022 年3 月5 日,学生奨励賞

資金

  1. 基盤研究(A):21H04916 (2021-)