概要
布は,服やハンカチ,カーペットなど日常生活のさまざまな場面で観察されます.実世界では,雨模様の天気や液体がかかることによって,布が濡れる状況は多く,シャツやブラウスなどの薄い素材の布は,濡れることで透過性が上昇することが知られています.

濡れた布の透過性が上昇する様子.
このように,CGにおいて布が濡れる表現は重要視されており,それに伴って布のビジュアルシミュレーション手法が種々提案されています.しかし,これらの手法は濡れていない布の透過性や,布と液体の相互作用だけを表現することに限定しており,液体に濡れた布の透過性を考慮した研究はほとんど知られていません.
そこで本研究では,実際の布の厚みや糸密度,含水率などの値をもとに,濡れた布の透過性をビジュアルシミュレーションするための独自のモデル a Stochastic model for WEt Absorbent cloth Translucency (SWEAT) を提案します.複合BSDFのパラメタと布の実測値を結びつけることで,簡単に写実的な濡れた布を表現できる拡張性の高いモデルを実現します.

上が実写画像,下がSWEATを用いたビジュアルシミュレーション結果.実際の布の厚みや含水率に沿って,写実的な濡れた部分の透過が表現できている.
メンバ
背景色が灰色のメンバは現在はプロジェクトに関わっていないメンバです。現在も藤代研究室に所属しているメンバは名前の前に藤代研のアイコンがついています。
名前 | 現在の所属 | ホームページ |
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![]() | 慶應義塾大学 |
業績
下線が引いてある著者は藤代研究室所属している/所属していたメンバーです。
発表
発表(査読なし)
- 中村 佑騎,藤代 一成:「SWEAT:透過性を考慮した濡れた布のビジュアルシミュレーションモデ ル」,映像表現・芸術科学フォーラム2025予稿集(映像情報メディア学会技術報告,Vol.49,No.10, pp.53–56,AIT2025–54)東京工芸大学中野キャンパス(東京都中野区),2025年3月10日, 優秀口頭発表賞「シミュレーション」受賞
- 中村 佑騎,藤代 一成:「濡れによる布の透過性のビジュアルシミュレーション」,情報処理学会第87回全国大会(立命館大学),5S–03 (講演論文集(2), pp. 477–478),2025年3月14日, 学生奨励賞 受賞
資金
基盤研究 (A) :21H04916 (2021-)