概要

近年のCGにおける映像表現の進歩により,精巧な自然景観をデザインするための作業量増加が課題となっています.そのため,CGプロダクションでは地形や植生配置を自動化するツールが開発され,既存研究では起伏を与えたい箇所をテクスチャに入力して自動的に地形を生成する手法が提案されています.

しかし,ユーザの入力した経路に沿った地形を生成できる実用的な既存手法は乏しく,たとえ生成される場合でも,地形は2D画面内のグリッドに制限される場合が多いため,2.5D ベースの自然景観をテクスチャを利用して柔軟に生成する手法が望まれます.

本研究では,地形特徴量テクスチャと歩行経路マップを参照することにより,経路に沿った自然景観を高速かつ自動で生成する手法を提案します.地形特徴量テクスチャから特徴量パッチを抽出し,歩行経路マップから算出した配置領域にパッチをマッピングすることでハイトマップを作成します.作成したハイトマップは3Dインスタンスが自動的に配置され,いくつかの地形候補をアーティストに提供します.

これにより,経路に従った自然地形を対話的な速度で生成できます.また,異なった起伏をもつ地形は歩行経路マップを変更することにより柔軟に与えることが可能です.

地形特徴量テクスチャと歩行経路マップを用いて三次元地形を生成する様子

Reality Modeling Triangle上の位置づけ

本研究は,実際に地形がもつ起伏を地形特徴量テクスチャとして入力できるため,Phenomenologicalな側面があります.またユーザが導きたい歩行経路について,歩行経路マップとして入力できるため,Artificialな側面も有します.一方で,配置するモデルや地形の幾何学的特性はあまり考慮しないため,Physicalとは遠い位置となります.

業績

下線が引いてある著者は藤代研究室に所属しているメンバです.

発表

  1. 西田 良輔藤代 一成:「地形特徴量テクスチャと歩行経路マップに基づく⾃然景観モデリング⽀援」,映像表現・芸術科学フォーラム2022 予稿集(映像情報メディア学会技術報告,Vol. 46, No. 10, pp. 71–74,AIT2022–56),オンライン,2022年3月8日
  2. 西田 良輔藤代 一成:「歩行経路マップに基づく⾃然景観モデリング⽀援」,第7回 ADADA Japan 学術大会,オンライン,2021 年10月8日,学生奨励賞受賞

資金

  1. 基盤研究(A):21H04916 (2021―)