概要

本プロジェクトでは,山梨大学大学院総合研究部の先生方,他と一緒に「コンピュテーショナル・フォレンジクス(計算法科学:CF)」という領域を研究しています.コンピュテーショナル・○○○」に共通する使命は,CGや計算資源を核とすることで,従来の物理的メディアの呪縛から解放されて,本来人間がやりたいと思っている知的活動を実現することです.

法科学がやらなければいけないことの一つに「犯された罪の重大さを適正に判断すること」があります.CFは,数値化された遺体の損傷度に捜査結果も加味して,殺意係数とも言うべき,事案の定量化を行った後,過去の判例と照合して適正に量刑を決められる,将来はそのような方向に向かうのではないかと私たちは考えています.
 

本プロジェクトでは,捜査における法医学分析や裁判で実際にシステムを利用するための効率的かつ効果的なユーザインタフェースを開発します.その中心的な概念が,LMML (Legal Medicine Markup Language) という新しい専用言語です.

LMML:Leagal Medicine Markup Language

LMMLベースの解剖データオーサリングツールとブラウジングによって,本来法医が多大な労力を払って作成せざる得なかった,警視正(警察の役職名)に嘱託された鑑定書を自動的に生成することを可能にします.

THEMIS:意味の数学モデルを用いた創傷類似度の視覚分析

LMMLファイル間の類似度を自動的に算出し,利害関係者らに提示する機能の初歩として,LMMLファイルに記録される画像間の類似度を提示するシステムとしてTHEMIS(THeoretical Estimation of Meaning of InSults)を開発中です.

意味の数学モデル

意味の数学モデルは,当プロジェクトのメンバである清木教授らが提唱している意味的類似度を計算する手法で,95年のSIGMOD Recordに掲載されました.例えば,「green」という言葉単体では,連想される意味が複数存在しますが,「road」関係の文脈であることを考慮すると,「green」が「go」(青信号の「進んでもいい」の意)に近いことを行列の計算によって示すことが可能です.さらに,ドキュメントだけでなく,マルチメディアであっても,そのコンテンツがもっている意味的要素を抽出して意味づけを行うことで,モダリティに関係なく意味的類似度を算出することが可能になります.

創傷画像の意味づけ

意味の数学モデルを創傷画像に適用するために,THEMISでは創傷の意味づけを行います.抽出する意味の項目としては,大きく「形態」と「色」の特徴のふたつです.画像処理によって創傷画像から創傷の輪郭を抽出し,輪郭から形態の特徴(開いた傷であるか,鋭利な傷であるか,など)を抽出する.一方,色の特徴はL*a*b*の表色系を利用して,創傷の代表色を抽出して創傷の特徴とします.抽出した特徴をベクトル表現することで,意味の数学モデルを用いた類似度計算を行います.

メンバ

背景色が灰色のメンバは現在はプロジェクトに関わっていないメンバです.現在も藤代研究室に所属しているメンバは名前の前に藤代研のアイコンがついています.

名前現在の所属ホームページ
王 宝慶慶應義塾大学
浅山 優芽慶應義塾大学
中山 雅紀慶應義塾大学
清木 康慶應義塾大学SFC 教員プロフィール
茅 暁陽山梨大学茅研究室 教員紹介
竹島 由里子東京工科大学東京工科大 教員紹介
安達 登山梨大学山梨大学 法医学講座 教員紹介
猩々 英紀山梨大学山梨大学 法医学講座 教員紹介
豊浦 正広山梨大学茅研究室 教員紹介
杉浦 篤志山梨大学山梨大学 教員紹介
王 雲海一橋大学一橋大学 研究者情報
Malik Olivier Boussejra慶應義塾大学 
早瀬 敏幸東北大学東北大学 研究者情報

業績

会議

  1. Malik Olivier Boussejra, Noboru Adachi, Hideki Shojo, Ryohei Takahashi, Issei Fujishiro: “LMML: Initial developments of an integrated environment for forensic data visualization,” in EuroVis 2016 – Short Papers, pp. 31-pp. 35, 2016. (pdf)
  2. Malik Olivier Boussejra, Noboru Adachi, Hideki Shojo, Ryohei Takahashi, Issei Fujishiro: “LMML: Describing injuries for forensic data visualization,” in 2016 Nicograph International (NicoLin.), pp. 153, 2016. Best poster award (pdf)

発表

  1. 浅山 優芽王 宝慶中山 雅紀,猩々 英紀,安達 登,清木 康,藤代 一成 :「意味の数学モデルを用いた創傷画像類似度の成傷機転依存分析」,第48回可視化情報シンポジウム 講演論文集,オンライン, 2020年9月24日―26日.
  2. 浅山 優芽王 宝慶Malik Olivier Boussejra中山 雅紀,猩々 英紀,安達 登,清木 康,藤代 一成 :「意味の数学モデルを用いた創傷類似度の視覚分析」,情報処理学会 第82回全国大会講演論文集,Vol. 2,pp. 155―156,金沢工業大学(石川県野々市市,オンライン開催),2020年3月5日―7日. 学生奨励賞受賞
  3. Malik Olivier Boussejra, Noboru Adachi, Hideki Shojo, Ryohei Takahashi, Issei Fujishiro: “LMML: Developing the environment of the LMML mark-up language for forensic data visualization,” in The Journal of the Institute of Image Electronics Engineers of Japan, vol.45(1), pp. 127, 2016.

資金

  1. 基盤研究(A):17H00737 (2017—2021)
  2. 基盤研究(A):26240015 (2014—2017)

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